イベント哲学:第2回

本物志向と高い完成度で信頼を得る

~~~正しいやり方や考え方は自らの行動で示す~~~

大根を抜いて整地することから始めた神事の設営

神事(しんじ)は読んで字のごとく神様事(かみさまごと)であり、神事の設営とは神様に来ていただく場所をお作りすることです。ですからやり方も決まっていて適当にやっていいものではありません。神事を執り行う神主さんは神様のお使いですから、神主さんにも失礼があってはいけません。

仕事を始めた当初そのことを理解している方はほとんどいませんでした。たとえば神事である地鎮祭を行う現地に行ってみたらそこはまだ畑になっていて、大根なんかが植わっている。神様に来ていただくのに大根が植わったでこぼこした畑で神事をやるわけにはいきません。建て主さんにその作物を抜いていいかどうかを確認してから作物を抜かせていただき整地したり、雑草が一面にびっしりと生えているのを丁寧に雑草を抜いてきれいにしたり、なかには泥沼のような現場もありました。どうしようかと考え、枕木を並べて整地しテントを張ったということもありました。

そうやって畑や泥沼だった場所にきちんと設営すると、神主さんも「これは気を引き締めてしっかり執り行わなければ」という気持ちになってやっていただける。すると建て主さんや参列者の方々も自然に背筋がピンと伸び、神事にふさわしい静粛な雰囲気になる。そんなことが何度もありました。

こちらの真剣な思いが建て主の心を動かす

仕事を始めてまもなくの頃、高松市内で新築をご予定の方の地鎮祭がありました。地鎮祭当日の朝現場で設営の作業をしていると、普段着でとことこと歩いて近づいてくるおじいさんがいました。おじいさんはその家の建て主さんのお父さんで設営の様子を見にいらしたのです。その時ちょうど土地内の中心の辺りを四角く取り囲むように数本の竹を立てているところでした。それを見ておじいさんが声をかけてきました。

「そこに竹を立てて何をしているのですか?」

これをお読みのみなさん、地鎮祭の時に立てる竹の意味をご存じでしょうか? 竹は、神様に来ていただく場所を作るために立てるもの、竹で囲まれたその場所は神様の場所であり、そこに人間が入ることはできません。

それ以外にも「四方払いの儀」や「鍬入れの儀」など神事である地鎮祭には執り行うべき大事な行事があります。特に「鍬入れの儀」は建て主さんが主役として行うもので地鎮祭のクライマックスとも言えます。

私はおじいさんにそのようなことを事細かく丁寧にご説明しました。おじいさんはしばらく見学された後、帰られたようでした。

そしていよいよ地鎮祭本番が始まるという時です。さきほどのおじいさんがやってきました。その姿を見て、私は驚きました。なんと、羽織袴という正装でいらっしゃったのです。地鎮祭はほんの30分ほどの神事です。その30分のために羽織袴に着替えていらっしゃった。神事の設営に対するこちらの真剣な思いを感じとり、おじいさんも真剣なお気持ちで臨んでくださった。うれしかったですね。今でも忘れられない出来事です。

真面目で丁寧な取り組みが良い循環を生む

地鎮祭に使う竹は山から切ってきて準備しておかなければいけません。本番までに枯れないようにするにはどうすればよいか、試行錯誤の日々が続いたこともあります。安易に人工の竹を使うことなど論外です。そしてついに枯れないようにする方法を編み出しました。もう何年も前のことです。そういった高い完成度を目指すための見えない努力もしてきました。

地鎮祭が良かったと喜んでくださった建て主さんが、建築会社にわざわざ礼状を出されたこともあります。建て主さんは地鎮祭の設営も建築会社がやっていると思っていますから。礼状を受け取った建築会社も嬉しいですよね。こんなに喜んでもらえるなら、これからもふじイベントサービスに頼もうということになり、私どもも嬉しい。そういう良い循環が生まれています。真剣で丁寧な仕事ぶりを評価されたのだと思うと次への活力にもなります。そういう状況を作り出せたのも、どんなときも手を抜かず妥協することなく本物志向を貫いてきたからだと思っています。

平成30年1月 藤原 宣雄


香川高松のイベント運営・企画支援会社ふじイベントサービスが、これまでに手掛けてきたか数々のイベントから学んだ経験とノウハウを、代表 藤原 宣雄の目線で語ります。
イベント主催者や、イベントに関わる様々な関係者にとって、何かの参考になれば幸いです。


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