イベント考ラム(コラム)

近代まで日本にはなかった?!「乾杯」の習慣

今年(2023年)のWBC(ワールド ベースボール クラシック)は、日本の「侍ジャパン」がドラマチックな展開のもと優勝し、世界一となりましたね。
野球界のスターが集った侍ジャパンですが、その中でも世界的スーパースター大谷翔平選手の名前は、野球ファンでなくても一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

初試合前、侍ジャパンの選手たちの決起集会が大阪の焼肉店で行われたそうですが、その時に大谷選手が「乾杯」の音頭をとったそうです。世界大会前の決起集会ですから気合が入りますね。

みなさんも、結婚式やさまざまな祝賀会、あるいは仲間内の飲み会などでも「乾杯」したことは何度もあると思います。乾杯の意味は、健康や物事の成功を祝ったり願ったりするもので慶事にはよく使われますね。

すっかり慣れ親しんでいるこの「乾杯」ですが、調べてみると日本では比較的新しい習慣のようですよ。

一説には、「乾杯」が日本に入ってきたのは江戸時代末期の1854年に「日英和親条約」が締結された時。調印後の晩餐時、イギリスから派遣されたエルギン伯爵が「我が国では国王の健康を祝して杯をかわす習慣がある」と言ったのを受け、江戸幕府の井上清直が「乾杯」と言ったのが始まりだとか。
その他、日本の西欧使節団の見聞により、あるいは黒船のペリー提督によりもたらされたものなど諸説あります。

その後、明治時代に入り「和装」から「洋装」に、「杯」から「グラス」に、「酒」から「ビール」になど生活習慣が西欧化していくなかで、それまで政府要人や軍の間で行うようになっていた「乾杯」が一般庶民にも浸透し、日本独自の進化を遂げて今に至るようです。
つまり「乾杯」の習慣はもともと日本にはなく西欧から入ってきたものなのですね。

乾杯のやり方の基本として、杯(グラス)を胸より下にならないように胸の高さくらいに持ち、乾杯の発声とともに杯(グラス)を顔のあたりまで上げます。その後、杯(グラス)をまわりの人と軽く合わせる、合わせないに関しては時代とともに変化してきており、現在では厳密なルールはないようです。しかし、親しい関係の人達の集まりでは杯(グラス)を合わせることもあると思いますが、フォーマルな場ではマナーとして杯(グラス)を合わせない方がスマートできれいな気がします。

また、杯(グラス)の中のものを飲み干す、飲み干さないも時代とともに変化してきており、やはり現在では厳密なルールはないようです。

ちなみに、地鎮祭などの神事の神酒拝戴で「乾杯」と言うことが多いようですが、昔は「弥栄(いやさか)」と言っていたそうです。「弥栄」とは日本の古い言葉で「ますます栄える」という意味があります。

余談ですが、大谷選手が「乾杯」の音頭をとったのはたまたまで、その場のくじ引きで決まったそうですよ (^_^)

令和5年6月 藤原 宣雄


香川高松のイベント運営・企画支援会社ふじイベントサービスが、これまでに手掛けてきたか数々のイベントから学んだ経験とノウハウを、代表 藤原 宣雄の目線で語ります。
イベント主催者や、イベントに関わる様々な関係者にとって、何かの参考になれば幸いです。


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